自律神経失調症

「自律神経失調症」とは、自律神経が失調してしまって起こる不定愁訴の総称です。そして特長として、多岐にわたる症状があるにもかかわらず検査をしても異常がみつからないという点があります。

自律神経は、不随意神経とも呼ばれ、意思とは独立した働きをしています。自律神経の働きとしては呼吸・心拍・血圧・体温・発汗・消化・排泄などの生体が生きるための最も基本的な体内機能の調整をしています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この二つの神経がバランス良く相反する働きをすることで体内機能の調節をしています。「自律神経」の失調とは、この「交感神経」と「副交感神経」のバランス調整が上手に行われなくなったこと意味します。

何故「自律神経」が失調をおこしてしまうのか、残念ながら原因はまだ不明です。
しかしながら自律神経のバランスが崩れる要因にストレスが関与しているケースが多いようです。先ほど自律神経は一般的に自分の意思ではコントロール不可能と述べましたが、実際にはかなり感情の影響を受けていますし働きも変化してきます。ですから「自律神経失調症」の患者さんの約半数はストレスによるものと言われております。

中医学的な自律神経失調症の考え方と治療法

自律神経失調症の代表的な症状について、簡単に説明をさせていただきます。

○体温調節不能
「気」の温煦作用が失調すると手足の冷え・寒がり・などの症状が現れます。(気虚・陽虚)

○動悸・脈の異常・息切れ
「気」には推動作用といって気・血の流れを良くする働きがあります。推動作用が失調すると息切れが生じます。(気虚)
「心」は血を全身へ循環しています。「心」が失調することで血が全身を廻らなくなることで動悸・脈の異常・息切れの症状が現れます。(心血虚)
「肺」は呼吸をおこないます。「肺」が失調すると息切れ・呼吸がしづらい、などの症状が現れます。(肺気虚)

○食欲不振・胸焼け・吐き気・便秘・下痢
「血」の滋潤作用の失調が起こると腸が滋潤されず便秘になります。(血虚) 動悸の説明で述べましたが「気」には推動作用があります、推動作用が減退すると押し出す力がなくなってしまい便秘が起こります。(気虚) 辛い物の食べ過ぎや身体の中で熱がこもりやすい体質の人は「胃」に熱がこもり「水(津液)」を損傷してしまいます。その結果 、便秘が起こります。(胃熱)

「脾」の働きには「運化作用」といわれ、飲食物から「気」や「血」を作る働きがあります。「脾の運化作用」が失調すると食欲不振・腹部のもたれ感・食後の倦怠感・食後の眠気・軟便・下痢・などの症状が現れます。(脾気虚)

「胃」は初期消化の働きをしていますので、「胃」が失調を起こすと、上腹部のもたれ症状が現れます。又、「胃の気」がスムースに流れないと胃部の経絡で「気」が渋滞を起こし、胃腸の張った感じが現れます。更に「胃」は通 常食べた物を食道から受け取り、下にある小腸に引き渡します。これは「胃の気」の流れが上から下に流れることにより食物も上から下に落ちて行っているわけです。ところが何らかの原因により「胃の気」が下から上に流れてしまうことが起こります。この「気」の流れが逆になること『気逆』(胃の場合は上逆とも言う)と言い、「胃の気」の気逆や「胃」に余分な水分が溜まり熱化するとゲップ・食欲不振・悪心嘔吐が起こります。(湿熱)

中医学では「肝」が障害されると、それ続いて「脾」「胃」が障害される場合があります(木克土)。これは中国の古代哲学(五行説)の考え方からきたものですが「肝気犯胃」とか「肝気横逆」といい、ストレスなどで「肝の気」が停滞を起こし、その影響が「脾」に及ぶと下痢になり(肝脾不和)、「胃」に及ぶと「胃気の上逆」が起こります。
長期に渡る病気や疲労により「胃」の中の必要な水分が損傷されると、食欲不振をまねきます。(胃陰虚)又、「脾」と「胃」の気が衰退しても、食欲不振が起きます。(脾胃虚弱)

食欲不振・胸焼け・吐き気の説明はこちらをご覧ください。→ 慢性胃炎・胃潰瘍
便秘・下痢の説明はこちらをご覧下さい。→ 慢性便秘・下痢

○不妊・性欲減退・インポテンツ・早期の閉経

「腎」は『精』と言って生命の根本をなすものを蔵するとされています。『精』は両親から受け継いだ「先天の精」と飲食物から作られる「後天の精」により形成されます。『精』は腎に貯蔵されることから「腎精」とも言います。「腎精」がある一定のレベルを超えると精子が作られたり排卵が始まったり性欲がでてまいります。老化・過労・睡眠不足は『腎精』を消耗させます。そうして「腎精」が衰えると不妊・性欲減退・インポテンツ・早期の閉経といった症状が現れます。

不妊症の詳しい説明はこちらをご覧ください。→ 不妊症と漢方

○感情の不安定や集中力の欠如・不眠・精神疲労
腎精の作用のなかに脳の滋養があります。「腎精」が不足して脳を滋養できないと精神疲労を起こします。〔腎精不足〕

「血」は精神活動に対しての栄養源になっています。「血」が充実していれば情緒も安定しますが、不足すると不安感・不眠・情緒不安定などの症状が現れます。(血虚)

「心」と「脾」が失調すると血が生まれず不眠になります(心脾両虚)

「肝」は「血」を貯蔵しております。この貯蔵力が減退することで不眠が起こります。〔肝血虚〕又、肝の疏泄が失調して血が全身へ廻らなくなっても精神症状があらわれます。〔肝鬱〕 身体の中の余分な水分が熱化し「心」を犯し不眠をまねきます。(痰火擾心)
ストレスなどにより「肝の気」が停滞を起こし熱化したことにより「心」に影響をおよぼし不眠が起こります。(肝火上炎)
「心」は精神の働きを統括していますので、「心」が失調すると様々な精神症状があらわれます。

不眠症の詳しい説明はこちらをご覧ください。

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