めまい

めまいは、漢字で「眩暈」と書きます。眩とは目がくらむことで、暈とは頭がふらふらすることです。この2つは同時に現れることが多いので「眩暈」と総称します。めまいの軽いものは、目を閉じればすぐに止みますが、重い場合は、船や車に乗っているようにふらふらして立つことができなく、或いは悪心・嘔吐・発汗を伴い、ひどい場合は昏倒することさえあります。

西洋医学的には、めまいはさまざまな原因で起こります。(メニエール・高血圧症・脳血管障害・貧血・自律神経失調症・眼科疾患など)中医学では病名を症状別に見て分類していきますので、どの疾患によるめまいでも治療対象となります。

中医学的なめまいの考え方と治療法

めまいと関係が深い臓腑が下記の肝・腎・脾になります。めまいは3つの臓腑の働きのいずれかが乱れて起こると考えています。

「めまいは肝に属す」(諸風掉眩、皆肝に属す)といわれ、めまいと最も関係が深いのは肝だと考えています。中医学でいう肝は肝臓機能の働きだけではなく、自律神経の働きを調整して全身の血液循環をコントロールしています。血流や筋肉の働きも管理していますから更年期の問題や肩こり等も肝が関わってきます。目の使いすぎ、神経の使いすぎ、ストレス、寝不足、過労等は肝を消耗させる事になります。結果として自律神経の働きが乱れ、脳や内耳の方へ十分血液が循環しなくなり、めまいの症状を起こします。従って、肝と関係のあるツボがよくめまいの治療で用いられます。

「腎は耳に開竅する」といわれ、耳は腎とも深く関係が有ります。東洋医学でいう腎は泌尿器だけでなく、内分泌(ホルモン)系、免疫系、生殖能力、骨や歯、耳、髪、腰、ノド等と関係しています。発育・成長・老化と関係していますので、年をとる毎に腎の機能は低下していきます。

いわゆる「腎虚」と呼ばれる状態です。腎虚になると骨や歯は弱くなり、尿の出方、生殖能力も弱ってきます。そして耳の方も、耳鳴りや難聴が起き易くなります。耳の内耳の平衡器官の方が障害されるとめまいが起こります。

「痰無くしてめまい起こらず」といわれ、水毒症状の代表としてめまいが起こる事が有ります。油っこい食べ物、甘い物の食べ過ぎ、冷たい物の飲み過ぎ等が消化器系の働きを弱め、胃内停水といって、胃の中で水がポチャポチャした状態になります。こういう状態を水毒といって身体の中の水分代謝が悪くなります。例えば内耳の水ぶくれ等でめまいを起こし易くなります。

肝・腎・脾と関連して、めまいの対応は以下のように分かれます。

1.肝火上炎タイプ

【症状】
・頭の張りと痛み
・赤ら顔
・目の充血がある
・眠れない
・イライラして怒りっぽい
・のどが渇きやすく、水分を多く欲しがる
・口が苦く感じる
・月経過多
・便秘

【治療】疏肝解鬱、清肝瀉火
【漢方】四逆散

2.肝陽上亢タイプ

【症状】
めまいのほかに、
・上半身、顔面部に熱症状が著名
・のどが渇くが水分を欲しがらない
・頭痛(主に後頭部痛)、頭重感
・肩こり(主に頚部のこり)
・耳鳴、眼精疲労、イライラ、易怒性
・不眠、夢が多い、顔面紅潮、眼球充血、口が苦い
などの症候があります。
めまいは乗り物の中で座っているときのような感じで、激しいときは悪心や嘔吐が生じることもあります。

【治療】「滋陰平肝潜陽」
肝陽の抑制と肝腎の陰の滋養により陰陽を調整し、これによって風気の内動を止めます。
【漢方】鎮肝熄風湯・天麻鈎藤飲など

3.気血両虚タイプ

【症状】
・全身倦怠感があり、無理をするとめまいが起こる
・横になると症状が軽減する
・眠気
・話すのがおっくう
・食欲不振
・便秘あるいは下痢
・低血圧 など

【治療】「益気養血」
気血を補益し、清陽を昇提します。これによって髄海を補益してめまいを止めます。

【漢方】帰脾湯・補中益気湯・十全大補湯・四物湯など

4.腎精不足タイプ

【症状】
夕方になるとめまいがひどくなる
・耳鳴りを伴う
・腰や膝がだるい
・尿の量が少ないが、トイレに行く回数は多い
・夜間尿が多い
・手足がほてる
・のぼせやすい
・膝や下肢が冷えて痛む
・顔色が悪い など

【治療】
「滋補腎精」
腎精を滋養し、脳髄を滋養してめまいを止めます。

【漢方】
六味地黄丸・知柏地黄丸など
のぼせなどがひどい場合:左帰丸・左帰飲など
冷えがひどい場合:右帰丸・右帰飲・真武湯など

5.痰濁中阻タイプ

【症状】
頭重感があり、回転性のめまいがある。(宙に浮いた感じの場合もある)
・胸苦しく、胃がつかえる
・食欲がわかない ・ 手足が重い
・よく眠気がさす(特に食後に眠くなる)
・疲れやすい
・足の冷え
などの症状があり、 動くとめまいがひどくなります。多くは頭痛、悪心を伴い、激しい時は月に何回か嘔吐を伴う発作性のめまいや頭痛をきたします。天気が悪くなるとこれらの症状が悪化するのが、このタイプの特徴です。

【治療】「燥湿化痰」「健脾和胃」
痰濁を除去し、清空の働きを改善してめまいを止めます。
胃の働きを調整し、痰濁の生成を阻止します。

【漢方】
半夏白朮天麻湯、黄連温胆湯、六君子湯、参苓白朮散

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