生理痛の原因と症状について

生理痛の定義
月経期、あるいは月経前後の下腹部痛、あるいは腰から尾てい骨の痛みで、生活に支障をきたすほどの場合を指します。ひどい場合は激痛で吐き気や気絶を起こすことも。多少腰やおなかが重く感じたり、ごく軽い痛みを感じる程度なら問題はありませんが、仕事や家事を休まなければならないほどの痛みを感じる場合は、注意が必要です。

現代医学的診断・治療法

西洋医学では月経困難症として治療していきます。

機能性月経困難症
(婦人科の検査で生殖器に異常が認められない)

痛みは初潮からまもなく始まり、子宮の痙攣性の収縮によって痛みます。内分泌のホルモン失調と関係があると考えられ、10~20台の未婚女性が訴える月経痛の95%を占めます。 治療としては、痛みには鎮痛剤を使用し、精神的なものには精神安定剤を使用することもあります。その他にはカウンセリングや心理療法など。

器質性月経困難症
(婦人科の検査で生殖器に器質的な異常が認められる場合)

痛みは続発的なもので、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮の位置や発育の異常、子宮頚部の癒着、附属期の炎症性疾患などが原因と考えられます。30~40代になってから発症した月経痛で鎮痛剤を飲まないと耐えられないときには必ず何かの器質性疾病があると考えて良いです。治療法は、それぞれ病気や程度により異なりますが主に薬物療法として鎮痛剤、ホルモン療法、手術療法として開腹手術、腹腔鏡手術があります。

西洋医学では、機能性と器質性別々のものとして診ていきます。治療としては主に、器質性の方に重点がおかれます。

このように、西洋医学の特徴は診察や検査によって異常が認められたものを‘病気’とみなし、それに対して治療をしていくというものです。ですので、器質的疾患や手術を要する疾患には有効といえます。

中医学的生理痛のとらえ方

主に、実証タイプと虚証タイプに分けることが出来ます。体にとって必要な「気・血・水」、が上手く流れず滞ってしまう実証タイプと、「気・血・陰・陽」不足による虚証タイプがあります。

~実証~

気滞血おタイプ

気滞とは精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるとストレスを感受した場所に気が滞ってしまう状態です。
血オは血の巡りが悪く、停滞してしまう状態をいいます。
気は血を押し出す働きをしており、気滞により流れがスムーズでなくなると血までも滞ってしまいます。

○主な原因
精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい、マイナス思考

○随伴症状
胸や脇、乳房がはって痛む、イライラしやすい、ガスやげっぷがでやすくなる、血のかたまりが出ると痛みは軽減する

○月経痛の特徴
痛む時期:生理前或いは、生理後1~2日はお腹が脹って痛む
部位:お腹の両脇または片側のみ
痛みの性質:脹った痛み、或いは刺すような痛み、手を腹部にあてるのを嫌がる

○月経血の特徴 
生理周期:正常或いは、遅れる
月経量:少なめ
色:紫色っぽく、赤黒い色
質:レバー状のかたまりが血に混じっている

○治療法
気と血の流れをスムーズにし、調えていく『理気活血』、それにより、停滞していた血のかたまりを流し、痛みを鎮めていく『カオ止痛』の治療をしていきます。
漢方:少腹逐瘀湯

寒凝血おタイプ

寒の性質は、流れを滞らせる収斂作用があり、体の中に入ることにより気の流れを停滞させてしまいます。そのため痛みを生じます。 

○主な原因
月経中や産後、寒冷にあたる(真夏のクーラーや真冬の冷たい風)、冷たいもの・生ものの食べ過ぎ

○随伴症状
冷えると下腹部が痛くなり、温めると楽になる、手足が冷える、軟便、おりものは多く、白っぽい

○月経痛の特徴
痛む時間:月経前、或いは月経中
部位:下腹部の真ん中
痛みの性質:冷えると痛み、痛みは温めると楽になる、手を腹部にあてるのを嫌がる

○月経血の特徴
月経周期:正常、或いは遅れる
量:少なめ        
色:赤黒っぽい
質:レバー状のかたまりが血にまじる

○治療法
経絡を温めることにより全身(この場合特に子宮)の気の流れを調えていく『温経暖宮』、停滞していた血のかたまりを流し、痛みを鎮めていく『カオ止痛の治療をしていきます。
漢方:温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯

肝鬱湿熱(かんうつしつねつ)タイプ

精神的ストレスに弱い「肝」が傷害され、「肝」の気がスムーズに流れなくなるとストレスを感受した場所に気が滞ってしまいます。
体全体の気の流れを促進させる働きのある「肝」が停滞してしまうことにより余分な水分と熱が下腹部内に(子宮を含む)こもることにより、下記のような症状が現れ、痛みを生じます。

○主な原因
精神的ストレス、イライラしやすく怒りっぽい、マイナス思考

○随伴症状 
胸脇や乳房の脹った痛み、便秘、尿は黄色く濃い、おりものは日頃から黄色っぽく粘っこい・においがある

○月経痛の特徴
痛む時期:月経前或いは、月経1~2日目まで
部位:下腹部或いは、下腹部の両側
痛みの性質:下腹部内に灼熱感を感じる、手をあてられるのを嫌がる

○月経血の特徴
月経周期:正常或いは、早まる
量:多め
色:暗めの赤色
質:粘っこく、レバー状のかたまりが血にまじる

○治療法
体内にこもっている熱と、余分な水分を取り除いていく『清熱除湿』、
気の流れをスムーズにし、痛みを鎮める『理気止痛』の治療をしていきます。
漢方:清熱調経湯、竜胆瀉肝湯

~虚証~

気血虚弱タイプ

体の活動源である「気」と、体内の各組織に栄養を与える「血」の不足により痛みを生じます。

○主な原因
虚弱体質、過労、睡眠不足、病気による体の消耗、汗のかき過ぎ

○随伴症状
顔色が白っぽいか、黄色っぽい、疲れやすく持久力がない、
胃がもたれやすい或いは脹る、胃腸が弱い、めまいや立ちくらみがある、生理ではないのに不正出血がある、風を引きやすい

○月経痛の特徴
痛む時間:月経中或いは、月経後
部位:下腹部の真ん中
痛みの性質:しくしくする痛み、下腹部に手をあてたり、揉むと気持ちがよい、月経の終わり頃から腰も痛く重くなる

○月経血の特徴
月経周期:正常或いは遅れる
量:少なめ 
色:薄い赤色
質:水っぽくさらっとしている

○治療法
気と血を補い増やしていき、痛みを鎮める『補気養血止痛』の治療をしていきます。
漢方:十全大補湯

肝腎不足タイプ

「肝」は血を貯蔵し、「腎」は精を貯蔵します。この精と血はお互いに栄養し合い、必要に応じて、精は血に、血は精に変化します。そのため中医学では、肝腎同源、精血同源などと言います。この肝腎のエネルギーの不足により、協調関係が乱れ、痛みが生じます。

○主な原因
生まれつき虚弱体質、早婚、出産過多、長期間の過労、性交過多による腎エネルギーの損傷

○随伴症状
めまい、耳鳴り、腰が重だるく不快感があり脚に力が入らない、

○月経痛の特徴
痛む時期:月経後
部位:下腹部或いは、腹部の両脇
痛みの性質:はっきりしない痛み、しくしくする痛み
腹部に手をあてられるのを好む

○月経血の特徴
月経周期:正常或いは、遅れる
量:少なめ
色:薄い赤色
質:水っぽくさらっとしている

○治療法
肝と腎の気を補い増やしていく「補益肝腎」、肝と腎の気を補うことにより血が作られ痛みを鎮める「養血止痛」の治療をしていきます。
漢方:調肝湯、八味地黄丸

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