うつ病

人は誰でも、生活の中のさまざまなできごとをきっかけに、気持ちが落ち込んだり憂うつな気分になったりすることがあります。しかし、このような気持ちの落ち込みや憂うつな気分は、原因が解決したり、あるいは解決しなくても、気分転換をしたり、時間が過ぎることで、自然に回復します。

ところが、原因が解決しても気分が回復せず、強い憂うつ感が長く続いてふだん通りの生活を送るのが難しくなったり、思い当たる原因がないのにそのような状態になるのが、うつ病です。

うつ病には、気持ちの落ち込み、憂うつな気分など「抑うつ気分」と呼ばれる症状とともに、意欲が出ない、考えがまとまらないなど、うつ病に特徴的な心の症状(精神症状)がみられます。また、多くの方に、眠れない、疲れやすいといった体の症状(身体症状)がみられます。

現代医学的考え方・治療法
うつ病は、起きる仕組みや原因がはっきり解明されておらず、まだまだ分からないことの多い病気ですが、その人がもともと持っている「うつ病になりやすい性質」と、「環境的な要因によるストレス」が関係していると考えられています。また、脳の神経の情報を伝達する物質の量が減るなど、脳の機能に異常が生じていることも分かってきました。

現代医学での治療は、薬物療法が中心です。だいたい次の3種類の薬が用いられます。

1.抗うつ薬・・・セロトニンやノルアドレナリンの活動を高める薬。
2.抗不安薬・・・不安や緊張を和らげます。
3.睡眠薬・・・・眠りを促します。

中医学的なうつ病の考え方と治療法

中医学では「鬱病」の事を「鬱証」と言います。「鬱証」は、精神的抑圧から精神のバランスが崩れその影響で体内の「気」の流れがスムーズに流れなくなってしまい鬱々とした気分が続いている状態と考えます。「鬱証」の起こるメカニズムは複雑ですが、最も重要なのは肝・脾・心の三臓の損傷と気血失調です。鬱症の発生初期と慢性期にタイプが分けられます。

発病初期

○肝気鬱結タイプ
症状 情緒不安定・怒りっぽい・脇や胸の張痛・生理不順・ゲップ・ため息・イライラ。
治療 「疏肝解鬱」と言って「肝」を整え、鬱状態を解き放つ目的の治療をします。
漢方 紫胡疏肝散

○気鬱化火タイプ
症状 すぐにかっとなって怒る・眩暈・耳鳴り・頭痛・目が赤い
治療  「清肝瀉火」と言って肝を清めて燃え上がっている火を鎮めます。
漢方 竜胆瀉肝湯

○気滞痰鬱タイプ
症状 喉の中に異物感があり飲み込んでも下がらず出そうとしても出ないが飲食の嚥下は正常におこなわれる。悪心・嘔吐など。
治療  「理気化痰」と言って気の流れを調整して気の力で痰を取り除かせます。
漢方 半夏厚朴湯・温胆湯

慢性期

○憂鬱傷脾タイプ
症状 落ち着かずいてもたっても居られない感じ・喜怒哀楽が激しい・不眠・あくび
治療 「養心安神」と言って心を養してリラックスさせる目的の治療をいたします。
漢方 甘麦大棗湯

○心脾両虚タイプ
症状 浮腫・倦怠・話すのが億劫・食欲不振・汗をかきやすい・軽度の腹部の張りや痛み・軟便・息切れ
治療 「健脾養心」・「益気補血」前者は脾を建て直して心を養する治療です。後者は気を益させ血を補する治療です。
漢方 帰脾湯

○陰虚火旺タイプ
症状 眩暈・動悸・入眠困難・怒りっぽい・生理不順など
治療 「滋陰清熱」といって陰液を補して熱を下げます。
漢方 知柏地黄丸・六味地黄丸

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